2002年01月02日

刀 その弐

再び日本刀の話。
これもよく時代劇に登場する「10人斬り」だの「30人斬り」だの言うアレ。
人間の肉脂で刃はすぐに切れなくなっちゃうから、一刀目で相手の胴を深々と斬り割いてしまうと、二刀目は恐ろしく切れ味が悪い。つまり「なまくら」になってしまうのだ。うまくやっても3人も斬ったら大抵の刀は切れなくなる。日本刀は、世界の刀剣の中でも特に切裂に特化した武器なので、切れ味が悪いというのは致命的だ。

では、刀が切れなくなったらどうするか、というと、突くのである。切れないからといって、力任せに刀身を叩きつけて打撃で相手を倒そうとすれば、曲ったりすることもあるし、何より、日本刀は打撃だけで敵を倒すようにはできていないので、武器としての能力が著しく落ちるのは免れない。
では、日本刀では多人数を倒すことはできないのか?
これが、やり方によってはできるのである。
まず、胴を斬らないことだ。手、あるいは足、できれば頭部や頚部が望ましい。深手を負わせなくとも顔を浅く斬られただけで、大抵の者なら戦意を喪失して戦線を離れるだろう。数に任せて襲ってくる刺客なんて、どうせ決死の覚悟なんて持ってはいないものだ。
ちなみに、ここで想定しているのは江戸時代の侍だ。戦国の甲冑を着けた武者では、さすがに刀一本では心もとない。
まぁ、もっとも合戦において一人で10人以上と戦うような状況ってのも考え難いし、あったとしてもそれはもう落ち武者狩りくらいなもので、「矢尽き刃折れ」ってな状態では、もはや刀云々という話ではない。

日本刀の欠点としては、
 ■ 折れる。
 ■ 曲る。
 ■ 刃こぼれする。
 ■ 肉脂で切れなくなる。
など様々ある。
刀身が根元から折れるってのは、余程のことがない限り滅多にはないだろうが、過って地面や木、石を叩いてしまえば、それでも切先は折れるし、刃が曲ったり、刃こぼれが起きたりすることが頻繁にあったらしいことは想像に難くない。
日本刀で一番多い破損としては、
 ■ 柄糸が擦り切れる。
 ■ 目釘が折れて、鍔元がぐらつく。
 ■ 刃こぼれを起こす。
あと、人を斬った後、懐紙で刀の血を拭ってから鞘に戻さないと、血が固まって抜けなくなってしまうという欠点もある。また、たとえ懐紙で拭ったとしても、完全には血や脂は落ちないんで、おウチに帰ってから、ちゃんと手入れをする必要がある。手入れを忘れると、錆びて今度こそ完全に鞘から抜けなくなってしまう。時代劇などで、カッコよく刀を振るって血を飛ばすしぐさを見かけるけど、あんなことでは刀についた血は落ちない。次に刺客に襲われた時に泣くことになるだろう。