2002年01月10日

クローンについて1

クローン技術で、複製人間が生まれる。SFでよく取り上げられるこのテーマには、実は大きな欠落がある。
自分や他人の身替わりとしてクローン人間を製造するなんて言っても、そう単純にはいかないのだ。
DNAを培養し、同じ遺伝子を持つ人間を誕生させたとしても、人はみな赤ん坊として生まれるもので、いきなり大人が生まれてくるものではないからだ。

仮に20歳の人間のクローンを造ったとしても、オリジナルとクローンの間には、20歳の年齢差が出来てしまう。20年成長を待っても、当然ながらこの差は埋まらないワケで、タイムマシンでも使わない限りこの問題を克服することは不可能なのである。
成長促進剤を使えばいいではないかと思う人もいるだろう。しかし、短期間に、しかも安全に、大人にまで成長させるほどの促進剤は、現代の科学では未だ開発されておらず、そんなものがあれば、牛に肉骨粉など与えなくても済んだハズだ。
さらに、成長促進剤などで、短期間に大人にする技術が生まれたとしても、急激に成長させられた肉体が、正常に機能するとはとても思えない。骨格や筋肉など、肉体を構成する組織というのは、適度な運動による破壊と再生を繰り返すことで、生活に耐えられるだけの強度を得るのであって、培養液の中で急速に成長を遂げた肉体は非常に脆く、跳んだり走ったりしたら、全身複雑骨折、内臓破裂、おまけに雲膜下出血で即死するのがオチだろう。
それだけではない。紫外線への抗性も貧弱なハズで、夏の陽射しの下にいきなり出されたら、皮膚癌や失明の危険性さえあるかもしれない。日焼けサロンもあるくらいだから、紫外線を当ててやればいいだろうと思うかも知れないが、短期間に、強い紫外線を当てると、それでなくても不安定な細胞組織は紫外線のためにひどく傷つき、使い物にならなくなる。非常に発ガン性の高いシミだらけの人間が生まれるだけだ。
オリジナルの持つ古傷や、癖などを確認するまでもなく、青白い皮膚を見ただけでクローンだってバレてしまう。そんなものが、身替わりになるワケがない。
尤も、上記の問題すべてをクリアしたとしても、人間の肉体の形態は、遺伝子のみで決定するものではなく、成長環境によって左右されるところが大きく、食事の貧富や、土地の寒暖、日照環境などで、いくらでも変わってしまうもので、そっくりな人間を造ることなどは、ほとんど不可能だと言える。